経営管理ビザにおいて、事業の継続性が良好であることは大事な要素の一つです。
審査においては、単年度の決算状況のみをもって判断されることはありませんが、貸借状況等も含めて総合的に判断されます。
継続性の有無について、それぞれの決算状況から見てみましょう。
1.直近期末において剰余金がある場合または剰余金も欠損金もない場合
剰余金:貸借対照表上の法定準備金を含むすべての資本準備金及び利益剰余金のことです。
欠損金:貸借対照表上の期未未処理損失、繰越損失
直近期において当期純利益があり、利益剰余金もある場合は事業の継続性に問題はありません。
また、剰余金が減少したものの、欠損金とまではならないようであれば、大きく問題になることはありません。
欠損とは:純資産より資本金が大きくなっている状態のことです(利益剰余金のマイナスが資本金を食っていいる状態)
2.直近期末において欠損金がある場合
a)直近期末において債務超過となっていない場合
債務超過:負債が資産の合計を上回った状態、すなわちすべての資産を換金したとしても負債を払いきれない状態
直近期末において欠損金が発生しているものの、債務超過とまではいかない場合は、今後一年の事業計画及び予想収益を示した資料の提出が求められますが、原則として事業の継続性があると判断されます。
b)直近期末において債務超過であるが、直近期前期末では債務超過となっていない場合
債務超過が1年以上継続していない場合に限り、継続性が認められる可能性があります。ただし、1年以内に具体的な改善が見込めることを示す必要があります。例えば、中小企業診断士や公認会計士等により1年以内に債務超過の状態でなくなることの見通しを含め改善の見込みについて評価を行った書面(理由の記載が必須)の提出が必要です。
c)直近期末及び直近期前期期末ともに債務超過である場合
基本的には事業の継続性が認められません。
3.直近期及び直近期前記ともに売上総利益がない場合
売上総利益:純売上高ー売上原価
原則的には、2期連続して売上高が売上原価を下回る状態においては、事業の継続性があるとは認められません。
4.債務超過や資本の欠損の解消方法
<短期的な方法>
①増資する
②代表者や役員からの借入金を資本金に振り替える
・貸付金である金銭債権の現物出資
・貸付金である債券の放棄
③遊休資産の売却によって得られた資金を借入金の返済に充当する
<長期的な方法>
①売上を増やす
②売上原価を減らす
③販管費の削減
<資本の欠損の解消方法>
株主総会決議により資本金又は、準備金を減少させる