製造業分野における特定技能外国人の受入れ

製造業分野で特定技能外国人を雇用したいときに必要な要件について説明します。

特定技能は要件が細かく設定されています。

まずは簡単な概要を押さえていきましょう。

製造分野 特定技能外国人の受入れが可能な事業所

製造分野で特定技能外国人の受入れが可能な事業所は以下の表にある業種を行っていることが必要です。

特定技能外国人が従事できる業務

企業側が満たすべき業種とは別に外国人側が満たすべき業務の種類は以下のように定められています。

こちらに挙げた業務以外にも日本人従業員が通常従事することとなる業務関連業務に付随的に従事することも可能です。

 

<関連業務の例>

  • 原材料や部品の調達、搬送作業
  • 各職種の前後工程作業
  • クレーン・フォークリフト等の運転作業
  • 清掃保守管理作業

※関連業務のみに従事することはできませんのでご注意ください。

雇用形態について

許可されている雇用形態は、直接雇用のみとなります。

派遣形態での受け入れは認められていません。

報酬について

同じ程度の技能を有する日本人と同等額以上の水準が求められています。

報酬以外の手当や福利厚生施設がある場合はその利用についても日本人と同等である必要があります。

特定技能外国人になるための2つの方法

1.特定技能評価試験に合格する

 従事する業務区分の技能評価試験と日本語試験の2つの合格が必要になります。

 技能評価試験は、経済産業所が作成しており、国内外で2022年度は4回程度実施される予定です。

 業務区分「溶接」では実際に溶接の作業試験が課されます。

 日本語試験は日本語能力試験(N4以上)、国際交流基金基礎テスト(A2以上)を受験しましょう。

 

2.技能実習2号を良好に修了する

 技能実習を良好に修了した場合、1で挙げた試験は免除されます。

 ただし、技能実習時の作業内容と移行する予定の特定技能の業務が一致している必要があります。

 以下に対応表を添付しておきます。

受入れ企業の要件

受入れ企業には、特定技能の制度を健全なものとして、特定技能外国人の保護等のために以下のような厳しい基準が設けられています。

 

  1. 労働、社会保険及び租税に関する法令を遵守していること
  2. 1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないこと
  3. 1年以内に行方不明者を発生させていないこと
  4. 欠格事由(5年以内に出入国・労働法令違反がないこと等)に該当しないこと
  5. 特定技能外国人の活動内容にかかわる文書を作成し、雇用契約終了日から1年以上備え置くこと
  6. 外国人等が保証金の徴収等をされていることを受入れ機関が認識して雇用契約を締結していないこと
  7. 受入れ機関が保証金の徴収等を定める契約等を締結していないこと
  8. 支援に要する費用を直接または間接に外国人に負担させないこと
  9. 労働者派遣をする場合には、派遣先が上記1から4の各基準を満たすこと(製造分野では派遣形態は認められていません)
  10. 労働保険関係の成立の届出等を講じていること
  11. 雇用契約を継続して履行できる体制が適切に整備されていること
  12. 報酬を預貯金口座への振込等により支払うこと(金融庁が銀行へ通達も)
  13. 分野に特有の基準に適合すること

受入れ企業の要件2(支援に係る要件)

受入れ企業の要件として、外国人の支援に係る基準がさらに課されます。

この支援に係る基準は、初めて特定技能外国人を受け入れる企業にとってはかなりハードルが高い基準となっています。

ただし、以下の基準は登録支援機関に全部委託する場合は基準を満たすものとして扱われます。

 

1.以下のいずれかに該当すること

  • 過去2年間に中長期在留者の受入れまたは管理を適正に行った実績があり、かつ役職員の中から支援責任者及び支援担当者(事業所ごとに1名以上・支援責任者および支援担当者は兼務可能です)を選任していること
  • 役職員で過去2年間に中長期在留者の生活相談等に従事した経験を有する者の中から、支援責任者及び支援担当者を選任していること(兼務可・1人でも良い)
  • 上記2つの基準と同程度に支援業務を適正に実施することができる者で役職員の中から支援責任者及び支援担当者を選任していること

2.外国人が十分理解できる言語で支援を実施することができる体制を確保していること

 

3.支援状況に関わる文書を作成し、雇用契約終了日から1年以上備え置くこと

 

4.支援責任者又は支援担当者が、支援計画の中立な実施を行うことができ、かつ、欠格事由に該当しないこと

 

5.5年以内に支援計画に基づく支援を怠ったことがないこと

 

6.支援責任者又は支援担当者が外国人及びその監督する立場にある者と定期的な面談を実施することのできる体制を有していること

 

7.分野に特有の基準に適合すること

受入れ企業の要件3(雇用契約に関する基準)

受入れ企業は、以下の基準を満たした雇用契約を特定技能外国人と締結しなくてはいけません。

  1. 分野で規定された業務に従事させること
  2. 所定労働時間が、同じ受入れ企業に雇用される通常の労働者(常勤従業員)の所定労働時間と同等であること
  3. 報酬額は日本人が従事する場合の額と同等以上であること
  4. 外国人であることを理由として、報酬の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用そのほかの待遇について差別的な扱いをしていないこと
  5. 一時帰国を希望した場合、休暇を取得させること
  6. 労働者派遣の対象とする場合、派遣先や派遣期間が定められていること(製造分野では派遣形態は認められていません)
  7. 外国人が帰国旅費を負担できなければ、受け入れ企業が負担するとともに契約終了後の出国が円滑になされる措置を講ずること
  8. 受入れ機関が外国人の健康の状況その他の生活状況を把握するために必要な措置を講ずることとしていること
  9. 分野に特有の基準に適合すること

協議会への参加

製造3分野では、特定技能1号の在留資格申請前に、受け入れ企業は経済産業省が組織する協議会へ加入しなければいけません。

この協議会というのは、特定技能制度の適切な運用を図るために関係機関の連携を図るために組織されています。

受入れ企業は協議会からの調査や各種協力要請に対しての対応が義務付けられています。

 

協議会加入の必須条件として

先に挙げた「製造分野における受け入れ可能な事業所の日本標準産業分類表」に記載のある産業について、直近1年以内に「製造品出荷額等」が発生していることが条件となっています。

協議会への加入を難しくしている要因として、

受入れ企業の製造品目が日本標準産業分類表に当てはまらず、加盟できないということがあります。

 

そのため、産業分類表に当てはまるかどうか不明な場合は、事前に経済産業省の問い合わせ窓口に確認することをおすすめします。

 

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