人材不足が深刻な介護業界では、外国人雇用が注目されています。
それでは、介護人材として外国人を雇うためにはどのような方法があるのでしょうか。
厚生労働省のページにわかりやすい図がありますのでご紹介します。
今回はこの中の在留資格「特定活動(EPA)」について解説します。
特定活動 EPA(経済連携協定)に基づく受入れ
EPAとはEconomic Partnership Agreementの略で、特定の国同士での貿易や投資を促進するため、規制や関税の緩和・撤廃、環境整備などを実施する条約をさします。
EPAによる介護人材の受入れは、外国人が日本の病院・施設などで介護福祉士候補者として就労又は就学しながら、日本の介護福祉士の国家資格のための研修を受け、無事に資格取れた後は引き続き日本で就労することを目的としています。
あくまでも、二国間の経済連携を強化のため公的に行うものであり、労働力の補填としての取り組みではないという位置付けになっています。
現在のところ、インドネシア・フィリピン・ベトナムの3か国とEPAを締結しています。
EPA介護福祉士候補者になるには
EPA介護福祉士候補者として選ばれるためには、それぞれの国によって定められた要件を満たすことが必要です。
〇インドネシア
次の(1)から(3)までのいずれかの条件に該当する者であること。
(1)インドネシア国内にある看護学校の修了証書Ⅲ以上取得者
(2)インドネシア国内にある大学の看護学部卒業者(4年生大学卒)
(3)インドネシア国内にある(1)・(2) 以外の大学又は高等教育機関から修了証書Ⅲ以上の学位を取得し、かつインドネシア政府により介護士として認定された者
〇フィリピン
次の(1)又は(2)のいずれかに該当する者であること。
(1)フィリピン国内にある看護学校卒業している者
(2)フィリピン国内にある高等教育機関から学位号を取得(4年生大学卒)し、かつフィリピン政府により介護士認定(TESDAの認定保持)された者
〇ベトナム
ベトナム国内における 3 年制又は 4 年制の看護課程を修了している者。
さらに、雇用契約を締結した後には、それぞれの国ごとに定められた期間、日本語研修(訪日前後)、介護導入研修を受ける必要があります。
受入れ施設の要件
EPA介護福祉士候補者はどこの施設でも働けるわけではありません。紹介された受け入れ施設で3年間勤務し、実務経験を積みながら介護福祉士資格の受験に向けて勉強をします。
EPA介護福祉士候補者を受け入れる介護施設には要件が設けられており、すべての要件を満たしていなければなりません。
おもな要件は次のとおりです。
1)定員30名以上の介護施設であること
2)介護職員数が法令に基づく配置基準を満たしている(候補者を除く)
3)常勤介護職員の4割以上が介護福祉士の資格を持つ職員であること
4)候補者に対して日本人と同等以上の報酬を支払うこと
5)適切な研修体制を確保すること
6)候補者の宿泊施設を用意すること
7)介護福祉士候補者の帰国費用の確保など、帰国担保措置を講じることができる など
受け入れの目的が「労働力」とならないようにするため、人員に余裕のある大手の介護施設しか受け入れができないように「定員30名以上の介護施設」などの要件が含まれています。
入国後4年目に介護福祉士の国家試験を受験し、合格すれば在留期間を更新しながら永続的に働くことも可能になります。
受入れ調整機関公益社団法人国際厚生事業団(JICWELS)
公益社団法人国際厚生事業団(JICWELS)が、唯一の受け入れ調整機関として日本国内の医療法人や社会福祉法人を対象に候補者のあっせん業務を担っています。JICWELSは年に1度受け入れ施設の募集を実施し、一定の要件を満たした施設が応募できます。
JICWELSの調整により日本の受入機関(施設)が決定した外国人は本国の政府により指名されます。
活動範囲
EPA介護福祉士候補者は、利用者の居宅における業務(訪問介護サービス等)に従事することはできません。
一方、EPA介護福祉士は一定の要件のもとで、訪問介護サービスに従事することができます。