昨今の建設業における外国人雇用
特定技能が設立されている分野は人材不足が深刻化している職業分野になります。
その中でも建設業界は著しく人材不足が深刻化しいる業界であり、近年では労働者の高齢化の問題も深刻化しています。
建設業が特定技能で外国人労働者を積極的に受け入れていくことは深刻な人材不足の改善に繋がる可能性を秘めています。
しかし、建設分野における特定技能の受け入れには「建設業独自の基準」と「全業種共通の基準」の2つを満たす必要があります。
今回は建設分野における特定技能外国人受入れの流れをご説明したいと思います。
建設分野における特定技能外国人受入れまでの流れ
外国人を受入れる企業がすべきことになります。
これに加えて外国人は
①技能評価試験と②日本語試験の両方に合格する必要があります。
①技能評価試験は
JAC実施の「建設分野特定技能1号評価試験」または
各都道府県職業能力開発協会実施の「技能検定3級」
②日本語試験は
JFT実施の「国際交流基金日本語基礎テスト(A2以上)」または
公益財団法人日本国債教育支援協会実施の「日本語能力試験(N4以上)」
に合格する必要があります。
技能実習2号を良好に修了した外国人については、技能評価試験及び日本語試験が免除されます。
ただし、技能評価試験の免除に関しては、技能実習で取得した技能に係る職種と、特定技能として就業する予定の業務区分が一致している場合に限ります。
では、受入れ企業側の流れを詳しく説明していきましょう。
①建設業許可の取得
特定技能「建設」の外国人労働者を受け入れるためには、建設業法令3条に基づく、建設業許可を取得する必要があります。
本来、軽微な工事を請け負う企業にとって、建設業法第3条の許可の取得は任意です。
しかし、受入れ企業が安心して下請契約を締結できるよう、建設分野の特定技能外国人制度では建設業許可が必要なのです。
②JAC(一般社団法人建設技能人材機構)に間接的または直接加入
JACは、日本の建設業界で働く外国人を、現場で技術者として受け入れ育成するために設立されました。
この団体に加入するためには2つのルートがあります。
〈ルート1〉間接的に加入する
JACは全国44の建設業者が正会員団体となっており、これらの正会員団体のいずれかに加入することで、JACの「正会員団体の会員」となり、どの職種でも特定技能外国人の受入れが可能になります。なお、正会員団体に加入するための費用が発生します。
〈ルート2〉JACに直接加入する
JACの賛助会員になることで、特定技能外国人の受け入れが可能となります。ただし、年会費24万円を支払う必要があります。
どちらも年会費等がかかってきますが、一般的に正会員団体の会員になる(間接的に加入する)方が費用が抑えられることがほとんどです。
なお、会員証明書は ⑥建設特定技能受入計画の認定申請 をする際に必要になってくるので早めに加入しておきましょう。
③建設キャリアアップシステムへの登録
建設キャリアアップシステムは、事業者が技能者の就業状況の確認・現場の効率化を図ることができ、技術者は自分の資格・就業履歴を証明し適正な評価と処遇が受けられるシステムです。
なお、事業者登録の費用は資本金によって異なり、有効期間は5年間です。
建設キャリアアップシステムに登録すると交付される「建設キャリアアップシステム事業所番号」が⑥建設特定技能受入計画の認定申請をする際に必要となります。
④特定技能雇用に係る重要事項説明
受入れ機関は、1号特定技能外国人に支払われる報酬予定額や業務内容等について説明し、雇用契約の重要事項について外国人が十分に理解しているか確認します。
このとき、「雇用契約に係る重要事項事前説明書」を使って説明します。外国人が十分理解できる言語を使用する必要があります。
なお、この重要事項説明については、必ずしも直接対面で行う必要はなく、テレビ電話などで行うことも可能です。
⑤特定技能雇用契約の締結
特定技能雇用契約の締結の際には、以下の3つの点に注意してください。
1.報酬の額について
報酬予定額を決める際には、技能実習2号の報酬水準を上回ることはもちろんのこと、実際に申請予定の1号特定技能外国人と同等の経験を有する日本人技能者に支払っている報酬と比較し、適切な報酬予定額を設定することが必要です。
2.月給制の採用にしなければならない
建設分野の特定技能外国人制度では、特定技能外国人の安定的な報酬を確保するため、仕事の繁閑により報酬が変動しないこと、すなわち「月給制」により、あらかじめ特定技能外国人との間で合意を得た額の報酬を毎月安定的に支払うことが必要です。受入企業で雇用している他の職員が月給制でない場合であっても、1号特定技能外国人に対しては月給制による報酬の支払いが求められます。
3.昇給等ついて
1号特定技能外国人が在留することができる期間は、通算して5年を超えない範囲とされており、この範囲で就労することが可能です。
そのため、技能の習熟に応じて昇給を行うことが必要となります。その昇給見込額等をあらかじめ特定技能雇用契約や建設特定技能受入計画に記載しておくことが必要です。
また、賞与、各種手当、退職金についても日本人と同等に支給する必要があり、特定技能外国人だけが不利になるような条件は認められません。
⑥建設特定技能受入計画の認定申請
受入企業は、建設特定技能受入計画を作成し、国土交通大臣に認定を受けることが必要です。 試験合格者である外国人を雇用する場合又は試験免除者である外国人を雇用する場合のいずれの場合であっても、新たに特定技能雇用契約を結ぶ場合には、必ず国土交通大臣の認定が必要となります。
建設特定技能受入計画の主な認定基準は
上記①~⑤に加えて
1号特定技能外国人に対し、受入れ後、国土交通大臣が指定する講習・研修を受講させること、
国又は適正就労監理機関((一財)国際建設技能振興機構(FITS))による受入計画の適正な履行に係る巡回指導の受入れなどがあります。
また、建設特定技能受入計画の記載事項に変更が生じる場合、受入企業は、国土交通大臣に対してオンラインにて変更申請又は届出を行う必要がありますので、ご注意ください。
⑦1号特定技能外国人支援計画の作成
特定技能外国人制度において、建設分野を含む12分野共通の取扱いとして、出入国管理法第2条の5第6項及び第19条の22第1項の規定に基づき、受入企業は、1号特定技能外国人が「特定技能1号」の在留資格に基づく活動を安定的かつ円滑に行うことができるよう職業生活上、日常生活上又は社会生活上の支援を実施する必要があります。
「1号特定技能外国人支援計画」は、在留資格変更許可申請又は在留資格認定証明書交付申請の際に必要となります。
なお、別途費用がかかりますが、自社支援ではなく登録支援機関に特定技能外国人の支援を委託することも可能です。
大体月額2~3万円で設定しているところが多いです。
⑧在留資格変更許可申請又は在留資格認定証明書交付申請
特定技能の在留資格の認定や変更申請は書類の数も膨大で、要件も複雑です。
多くの企業が行政書士や登録支援機関に委託をしています。費用はおおよそ10~20万円になります。
当事務所は特定技能に特に力を入れておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。